使徒、襲来 前
ゆで卵をつぶしてトーストにはさんで、それを片手に家を出る。
「待って!シンちゃん!コラ待ちなさいシンジ!」
後から聞こえてくる母、ユイの声は無視!
学校と言う名の交流の場に向けてひた走る。
「朝から父さんの仏頂面なんてたまんないよ…!」
年頃の少年は苦手な父に大して年相応に思い悩んでいた。
「まったく、シンちゃんったらたまには朝ごはん一緒に食べてよぅ~」
高層団地にユイの声はむなしくこだまする…
と。
「すみません」
声に振り向くと見かけない少年がユイの後にたっていた。
深紅の瞳に色素の薄い髪を持った不思議な少年に一瞬ぽかんとしつつもユイの行動は早い。
「あら、あらあら、あらあらあら、ごめんなさい!」
邪魔だったわねとユイが慌てて退くとしかし少年はにこりと笑う。
「先日引っ越してきました、渚です。これつまらないものですけど」
ちょっとした包みを差し出してきた。
「まあ、お隣のお隣のお隣さんがなんだか騒々しいと思ったら!うちは碇って言うの、よろしくね」
「碇さん、よろしくお願いします」
ユイがにこっと笑うと少年渚もさらににこりと笑った。
不思議な風貌の割りになかなかかわいらしい。
「そういえばその制服、第壱中学校?うちの子ついこの春に2年になったんだけど」
「ええ、僕も中学2年です。お子さんは…」
渚は先ほどユイの息子、シンジが走り去っていった遥か遠方に視線を向ける。
「シンジって言うの、最近いっちょまえに思春期で一緒に朝ごはん食べてくれないのよ…」
しょんぼり落ち込むユイに渚は苦笑いで返した。
「そうでなんすか…大変ですね」
「ええ、もし良かったらシンジと仲良くしてね、渚君」
この場には居ない人間のことを今出会ったばかりの人間に頼むのもビミョウなことだが。
なんとなくユイは渚と言う人間を昔から知っている人間の様に気にいってしまっていた。
「はい。シンジ君が心を開いてくれれば…ですが」
そう言うと渚はそれではそろそろ…と軽く手を振ってユイの前から姿を、消した。
いや、正確には学校に向かって歩き出したのだが。
「ねえ!渚君!」
と、渚が学校へ向かうべく階段を降りていた中途、
いつのまに追いかけてきたユイに呼び止められた渚は足を止めた。
「下のお名前は?」
そしてユイは先ほどうっかり聞き忘れた重大な質問を階下の渚に投げかける。
「カヲル、渚カヲルです」
渚カヲル、赤い目の不思議な少年の名前だった。
「シーンジ、はよ!」
後から良く聞き慣れた友の声。
「ケンスケ。おはよー」
振り向いていつもどおりに笑顔を向ける。
「なんやシンジ走ってきよったんか?朝っぱらからあせっくさいでー」
母から逃げるために走ってきたのは確かだが理由を説明するのは照れくさい。
ここは話題を変えてごまかすべしとシンジはあえてトウジが嫌がるワードを口にする。
「トウジだってそのジャージちゃんと洗ってるの?なんか、にお」
皆まで言う前に必殺のアッパーが入る。
トウジのシャージはトウジの命、何かしら不備を指摘すれば必ず痛い目を見るのだ。
「せからしかー!このジャージはなつみが丹精込めた手洗いのだな!」
トウジがジャージと妹なつみへの熱き思いを語る最中、
必殺アッパーが運悪く急所に入ったシンジは意識を軽く飛ばしていた。
「あちゃー!」
シンジが道に倒れこまないようにケンスケは慌ててシンジを抱え込んだ。
「ちょっとトウジー、朝からカンベンしてくれよー、ってか運ぶの手伝ってよ…」
「自業自得や、ワイは微塵も悪うないで!せやから運んだる義理もない!」
ふふん、と笑ったその瞬間。
「がっ」
何者かの良く磨かれたローファー、そのかかとがトウジの脳天に突き刺さる。
「なっっっっっにしやがんじゃああああああ!この怪力女!」
「っさいわね!アンタがなにしやがってるのよ!シンジをいじめないでくれる!?」
(シンジに)恋する乙女、アスカだ。
「報復しただけじゃ!それ言うならオマエのほうがよっぽどいじめやで!」
幼馴染というか腐れ縁というか、いつも三人の、特にシンジの傍には常にアスカの存在が付きまとう。
何かしら絡んでくるアスカの登場にトウジは食って掛かった。
「あーはいはい、トウジもアスカもとりあえず学校遅れるから手伝ってよ…」
暑苦しげにシンジを背負うケンスケが仲裁するもアスカもトウジもますますヒートアップするばかり。
「アンタは黙ってて!ってかシンジに触んないでよ!バカがうつる!」
成績で言えばトウジもケンスケもシンジも三人ともどんぐりの背比べなのだが、
恋する乙女アスカにはそんなことは関係ない。
「え、えー!なんだよそれ!でも俺が助け、いや、バカとか…バカとか…」
何気ない言葉にケンスケが傷ついていると。
「アスカーってばなにやってるの、ほんとに遅刻しちゃうよー!碇君はこぶの手伝ってあげようよ!」
委員長のヒカリが遅れて登場した。
「そ、そうね、ケンスケ!早くシンジをよこしなさい!」
ぬっと突き出される手。
しかしシンジは生きてる人間でしかも今は軽く意識を飛ばしている。
物みたいにそんな簡単に手渡せるもんでもない。
もっとこう、慎重に…
「ケンスケ!その怪力女に絶対シンジ運ばせたらいかんで!シンジが食われる!」
「な、何よその言い方!野蛮だわ!!低俗すぎるわ!!!ほんとアンタ最低よ!!」
また二人の喧嘩がはじまった。
「もぉ~アスカ~」
「何かお困りのようだね」
喧嘩する二人の後ろで困り果てるヒカリの更に後から急に飛び込んだ見知らぬ声。
「な…アンタ、誰…?」
アスカの怪訝な声にヒカリが何かしら声を上げようとすると、先に少年が口を開く。
「渚、カヲル」
「あ、あの…今日来る予定の、転校生、だよね?」
続いて、既に教師から事情を知らされていたヒカリが追加説明する。
「そ。彼、碇シンジ君だろ?さっき彼の母親からシンジ君のことを任されたんだ、僕が運ぶよ」
そう言うと渚カヲルはケンスケの背中でウンウンうなるシンジを軽々ヒョイっと持ち上げた。
「じゃ、皆も遅刻しないようにね」
去っていく背中はあまりにも自然で、爽やか過ぎて、誰も、反論も、とめることもできず。
「うおあー!ほんまに遅刻やー!」
いち早く我に返ったトウジが叫んで皆一目散に学校目掛けて走り出した。
ゆで卵をつぶしてトーストにはさんで、それを片手に家を出る。
「待って!シンちゃん!コラ待ちなさいシンジ!」
後から聞こえてくる母、ユイの声は無視!
学校と言う名の交流の場に向けてひた走る。
「朝から父さんの仏頂面なんてたまんないよ…!」
年頃の少年は苦手な父に大して年相応に思い悩んでいた。
「まったく、シンちゃんったらたまには朝ごはん一緒に食べてよぅ~」
高層団地にユイの声はむなしくこだまする…
と。
「すみません」
声に振り向くと見かけない少年がユイの後にたっていた。
深紅の瞳に色素の薄い髪を持った不思議な少年に一瞬ぽかんとしつつもユイの行動は早い。
「あら、あらあら、あらあらあら、ごめんなさい!」
邪魔だったわねとユイが慌てて退くとしかし少年はにこりと笑う。
「先日引っ越してきました、渚です。これつまらないものですけど」
ちょっとした包みを差し出してきた。
「まあ、お隣のお隣のお隣さんがなんだか騒々しいと思ったら!うちは碇って言うの、よろしくね」
「碇さん、よろしくお願いします」
ユイがにこっと笑うと少年渚もさらににこりと笑った。
不思議な風貌の割りになかなかかわいらしい。
「そういえばその制服、第壱中学校?うちの子ついこの春に2年になったんだけど」
「ええ、僕も中学2年です。お子さんは…」
渚は先ほどユイの息子、シンジが走り去っていった遥か遠方に視線を向ける。
「シンジって言うの、最近いっちょまえに思春期で一緒に朝ごはん食べてくれないのよ…」
しょんぼり落ち込むユイに渚は苦笑いで返した。
「そうでなんすか…大変ですね」
「ええ、もし良かったらシンジと仲良くしてね、渚君」
この場には居ない人間のことを今出会ったばかりの人間に頼むのもビミョウなことだが。
なんとなくユイは渚と言う人間を昔から知っている人間の様に気にいってしまっていた。
「はい。シンジ君が心を開いてくれれば…ですが」
そう言うと渚はそれではそろそろ…と軽く手を振ってユイの前から姿を、消した。
いや、正確には学校に向かって歩き出したのだが。
「ねえ!渚君!」
と、渚が学校へ向かうべく階段を降りていた中途、
いつのまに追いかけてきたユイに呼び止められた渚は足を止めた。
「下のお名前は?」
そしてユイは先ほどうっかり聞き忘れた重大な質問を階下の渚に投げかける。
「カヲル、渚カヲルです」
渚カヲル、赤い目の不思議な少年の名前だった。
「シーンジ、はよ!」
後から良く聞き慣れた友の声。
「ケンスケ。おはよー」
振り向いていつもどおりに笑顔を向ける。
「なんやシンジ走ってきよったんか?朝っぱらからあせっくさいでー」
母から逃げるために走ってきたのは確かだが理由を説明するのは照れくさい。
ここは話題を変えてごまかすべしとシンジはあえてトウジが嫌がるワードを口にする。
「トウジだってそのジャージちゃんと洗ってるの?なんか、にお」
皆まで言う前に必殺のアッパーが入る。
トウジのシャージはトウジの命、何かしら不備を指摘すれば必ず痛い目を見るのだ。
「せからしかー!このジャージはなつみが丹精込めた手洗いのだな!」
トウジがジャージと妹なつみへの熱き思いを語る最中、
必殺アッパーが運悪く急所に入ったシンジは意識を軽く飛ばしていた。
「あちゃー!」
シンジが道に倒れこまないようにケンスケは慌ててシンジを抱え込んだ。
「ちょっとトウジー、朝からカンベンしてくれよー、ってか運ぶの手伝ってよ…」
「自業自得や、ワイは微塵も悪うないで!せやから運んだる義理もない!」
ふふん、と笑ったその瞬間。
「がっ」
何者かの良く磨かれたローファー、そのかかとがトウジの脳天に突き刺さる。
「なっっっっっにしやがんじゃああああああ!この怪力女!」
「っさいわね!アンタがなにしやがってるのよ!シンジをいじめないでくれる!?」
(シンジに)恋する乙女、アスカだ。
「報復しただけじゃ!それ言うならオマエのほうがよっぽどいじめやで!」
幼馴染というか腐れ縁というか、いつも三人の、特にシンジの傍には常にアスカの存在が付きまとう。
何かしら絡んでくるアスカの登場にトウジは食って掛かった。
「あーはいはい、トウジもアスカもとりあえず学校遅れるから手伝ってよ…」
暑苦しげにシンジを背負うケンスケが仲裁するもアスカもトウジもますますヒートアップするばかり。
「アンタは黙ってて!ってかシンジに触んないでよ!バカがうつる!」
成績で言えばトウジもケンスケもシンジも三人ともどんぐりの背比べなのだが、
恋する乙女アスカにはそんなことは関係ない。
「え、えー!なんだよそれ!でも俺が助け、いや、バカとか…バカとか…」
何気ない言葉にケンスケが傷ついていると。
「アスカーってばなにやってるの、ほんとに遅刻しちゃうよー!碇君はこぶの手伝ってあげようよ!」
委員長のヒカリが遅れて登場した。
「そ、そうね、ケンスケ!早くシンジをよこしなさい!」
ぬっと突き出される手。
しかしシンジは生きてる人間でしかも今は軽く意識を飛ばしている。
物みたいにそんな簡単に手渡せるもんでもない。
もっとこう、慎重に…
「ケンスケ!その怪力女に絶対シンジ運ばせたらいかんで!シンジが食われる!」
「な、何よその言い方!野蛮だわ!!低俗すぎるわ!!!ほんとアンタ最低よ!!」
また二人の喧嘩がはじまった。
「もぉ~アスカ~」
「何かお困りのようだね」
喧嘩する二人の後ろで困り果てるヒカリの更に後から急に飛び込んだ見知らぬ声。
「な…アンタ、誰…?」
アスカの怪訝な声にヒカリが何かしら声を上げようとすると、先に少年が口を開く。
「渚、カヲル」
「あ、あの…今日来る予定の、転校生、だよね?」
続いて、既に教師から事情を知らされていたヒカリが追加説明する。
「そ。彼、碇シンジ君だろ?さっき彼の母親からシンジ君のことを任されたんだ、僕が運ぶよ」
そう言うと渚カヲルはケンスケの背中でウンウンうなるシンジを軽々ヒョイっと持ち上げた。
「じゃ、皆も遅刻しないようにね」
去っていく背中はあまりにも自然で、爽やか過ぎて、誰も、反論も、とめることもできず。
「うおあー!ほんまに遅刻やー!」
いち早く我に返ったトウジが叫んで皆一目散に学校目掛けて走り出した。
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悟史君と圭一君とカヲル君とシンジ君にメロメロだ。
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